// 見えない壁? //




「見えない壁」 ・・・と言っても人間関係の見えない壁は難しすぎて私自身よくわからないのでパス(笑)。 ここで取り上げるのは住宅を構成する「壁」 の取り扱いについて考えてみます。


あえて「壁」 の機能を羅列してみます。
・外部から生活を守るための外皮(シェルター)。
・部屋・室を構成するための間仕切り。
・内外を問わず空間を分離する手段。
・柱と共に存在する構造体。

大雑把にとらえると このような内容でしょうか。(注1:機能です)
そして、これらには「視線や音の遮断」が同時に求められます。では逆に「気配を感じる壁」というのは どうでしょう? 例として次のような方法が挙げられます。

・壁一面をガラスにする(透明でもスリガラスでも)。
・タテヨコ組子の格子で代用する(注2:牢屋をイメージしてはダメ)。
・壁に穴(開口)を開ける(注3:覗き穴ではない)。
・壁の高さを目線の上くらいまでにして天井は隣室とつなげる。
・・(注4:ちょっと違うけど男湯と女湯の間の壁みたいな感じ?)

このような操作をすると、ハッキリと姿は見えないけれど音が聞こえるとか音は聞こえないけれど姿は見えるなど、気配を感じる壁を通して気配を感じる空間が構成できます。リビングを中心としたパブリックスペースや子供部屋なんか、まさにオススメと思っています。



そこで更に思考を発展させてみます。「壁をつくらない」 というのはどうでしょう? (もちろん内部の壁) 大きな一室空間のイメージです。
気配を感じた方がいい という感覚があれば視線は通って、室内広々、キモチのよい空間を獲得できます。この場合でも室を構成することは可能です。
・床段差を設ける。
・仕切りたい部分の上部に梁を飛ばす。
・仕切りたい部分のコーナーに柱を設ける。
・天井の高さを変える。 などなど。

すると不思議なことに そこには 「見えない壁」 を感じるはずです。
実は上記に挙げた例は「壁の面」を意識させる要素です。空間を囲い込む要素ですから、壁はなくても落ち着いた空間を作れるのです。


どうしても仕切りたい時はカーテンやロールスクリーンで臨機応変に対応することで どうでしょう?


そして、「見えない壁」 には ローコストが可能というメリットもあります。なにしろ仕上材となる壁の量が少ない・壁があれば必要な建具が不要になる・・・などコスト部材の絶対量が確実に減るからです。(注5:でも空調計画だけは要注意です)。
その他、将来的にはリフォームしやすいなどもあります(なにしろ壁がないわけですから)。


なんでもかんでも「壁」で仕切って狭くするより、見えない壁の有効利用考えてみませんか?














一応、断わり書きを。
「見えない壁」 は主にパブリックゾーン&子供部屋などを対象に記述しています。夫婦寝室やトイレ・浴室などはプライバシーが必要ですから対象外です。でも本当は、住宅は家族ごとの特殊解ですからその家ごとに対象範囲は異なるものと思っています。

















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