// 容積率の不思議 // (2000.11.25)

容積率・・・敷地面積に対する建築可能な延べ床面積の制限です。

たとえば50坪の敷地で”容積率80%”の場合は、
50坪×80%=40坪 が最大延べ床面積となります。・・・・が?

法律の趣旨は、その地域・土地に合わせた床面積を制限することにより、建物の大きさを制限し環境を整えること--と思うのですが、日頃 設計をしていて??と思うことが多々あります。




■ 容積率計算で床面積に入れないで済む部分(住宅の場合)

・駐車場・自転車置場・地下室 (延べ面積の1/3まで ですが)

・バルコニーやポーチ

・ロフト(天井高さ1.4m以下に限る)

これらは、部屋として使えそうもない場所は容積率の計算から除外できますという法律の緩和規定です。

ただし、地下室の緩和は住宅用途の場合のみです。ど・どうして?
(一応、地価が高騰したため、有効利用できるよう配慮したということになっています)


■ さらに!

なぜかマンションの場合は、上記部分のほかに「エントランスホール」
「屋内の廊下」 「屋内の階段室」 「集会室」といった共用部分が容積率の計算から除外できるという緩和規定が3年くらい前から施行されてます。


■でも・・

いずれも住宅やマンションのみを優遇対象にした不公平な法律です。
ビルだって店舗だって置かれる状況は変わらないのに?・・


■ と・いうことは?

設計実務の視点から整理すると、全く同じ大きさ・間取りの建物を設計し、申請しても「住宅・マンション」はOKで「用途をビル」とした途端、容積率オーバーで不許可という 不思議な現象が発生します。 な・なぜ?



−−−−−− ムムム −−−−−−−

その地域・土地に合わせた床面積を制限することにより、建物の大きさを制限し環境を整えること--いう法律の趣旨はいったい どこへ??

政治的な影がちらついて見えるのは気のせいでしょうか?


●もう一丁!

実は容積率を制限しても外から見た建物の大きさは制限できないのです。住宅を例にとると
・駐車場と自転車置場を家の中に組み込んだ設計をした場合。
・大きな吹抜けを作った場合。
・中庭を作った場合。

部屋の面積は同じでも、いずれの場合も外観のヴォリュームはかなり、大きくなります。もちろん合法です。

これでは制限の意味がない・・と思うのは私だけでしょうか?

また、当初は駐車場で使っていたものを後から部屋に変更したら・・・




容積率以外にもおかしな規制がたくさんあります。
折をみてまた紹介する予定です。

「穴だらけの建築基準法」・・こんないい加減?な法律に振り回される必要があるのかなぁ。と、いうわけで我々設計者は法の趣旨をベースに考えつつ、法律の矛盾について絶えず役所(審査窓口)と戦っています。
(担当者によって答えが違うんですよ!)


今年は色々と法改正がありました。規制緩和という世論とは裏腹に見事に裏切られました。頭の固い建設省のお役人に期待するほうが、ばかだった。

建設大臣なんかケンチクの「ケ」の字も知らなそうだし・・・







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