雑誌の鵜呑みは危険 (2000.0918)



世の中、情報が溢れています。そこで建築雑誌・住宅雑誌について取り上げてみます。


雑誌というモノは読者がいて成り立つものですから、当然、目を引く内容やアコガレの空間を切り取って紹介しています。変わった建物などは大歓迎です。

ここで注意したいのは、その記事や写真で紹介されている家で生活する光景をイメージしてみることです。すると、「本当にこんな家で快適な生活ができるの?」 という疑問を抱く建物が以外と多いことに気が付くハズです。

例を挙げるとキリがありませんが幾つか紹介します。


■その1 ・・・ 全面ガラス張りのリビング

サンサンと陽が降り注ぐ気持ちの良い空間と思われがちですが、夏場と、冬の曇った日や夜間はものすごい空調が必要になります。ガラスは熱の透過率が大きいため、外気の影響が室内まですぐに伝わるからです。 当然、電気代もハンパでは済みません。

ガラスという素材は非常に魅力的で、設計者としてもつい使い過ぎてしまいたくなります。メリット・デメリットを充分認識することが大切です。





■その2 ・・・ 内外装共コンクリート打ち放し

安藤忠雄氏のトレードマークともなっているコンクリート打ち放しは実は私も大好きです。無機質な素材感は魅力的ですね。

気を付けなければいけない事は、内外装ともコンクリート打ち放しにすると、断熱性がまったく期待できませんから「ガラス張りのリビング」同様、ものすごい空調が必要になります。

コンクリート打ち放しに拘る場合は外部は打ち放し・内部は断熱材吹付け+仕上げ材がbetterかと思います。安藤氏の作品でも六甲の集合住宅の住居部分は断熱してます。(分譲の為、やらざるを得なかった?)



■その3 ・・・ 家具の配置を考えると・・・

雑誌で紹介される写真は大抵、竣工直後かつ引っ越し前のモノです。
写真映りを良くするため、センスの良いテーブルとイスぐらいしか置かれていない場合が多いです。「見せる絵」を目的に撮影されていますから、生活に必要な家具や小物は邪魔物として扱われます(特に建築雑誌)

実際の設計打合せでは、生活する際に出てくるモロモロの家具や小物の配置をよく考えて部屋のイメージを掴むことが必要です。

ちなみに壁と同材で仕上げた壁面収納を多用すると部屋全体がスッキリと納まります。





実態も機能性もよく理解してますが コンクリート打ち放しでガラス張りの家をナントカ設計できないものかと思案するのであった(笑)

  モドル

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