「 建築豆知識?」

家を造る際に知っておきたい基本的なことを羅列してみます。
細か〜く解説するとキリがないので、ポイントを住宅に絞って記載します。一般事項中心なので詳細を確認したい方は、メールで問い合せ下さい。個別親切回答 できると思います。
尚、私の考えかたや提案内容は 「
ツブヤキ」のページを御覧ください。


 

// 1.土地に関係すること // 

1.基本条件を認識する。---土地をもってる人も探している人も。

まず、下記事項を確認しましょう。(土地のポテンシャルを確認)

・ 用途地域 、建ペイ率 、容積率。
・ 高度地区指定の有無。有の場合は第何種高度地区か?
・ 道路の種類と幅員。
・ 上下水道、都市ガスの整備状況。
・ 地区計画などの条例や規制(壁面後退や街並み協定など)。
・ 真北の確認。
・ 日影規制(高層を計画する場合)
・ 近隣地盤(地質)の調査。



以上、私が計画する時に初めに確認している内容です。土地が潜在的に持っている計画条件であり、家を建てる際の「規模」や「形態」それに「コスト」に大き く作用するものです。これら3つに分けて解説します。



// 「規模」や「形態」に関係する内容 //

■ 用途地域 ■
第1種低層住居専用地域の場合は最高高さ10mです。その他の地域は、建築基準法上は最高高さ制限なし。ただし、高度地区制限により、細かく制限を加えて いる地域あり(例えば横浜は7段階に分けて制限している)。その他 北側斜線規制や道路斜線規制、日影規制などが 各用途地域ごとに細かく決められている。


■ 建ペイ率 ■
敷地に対する建物投影面積の比率。わかり易く言うと 空地率。
例えば、敷地面積200m2で 建ペイ率50%の場合、建てられる投影面積は 200×50%=100m2が最大となる。

尚、バルコニーや庇のように建物から ハネ出している部分は先端から1mまでは除外される。とか、屋根が無い部分は除外されるなどの緩和規定あり。また、準防火地域にて準耐火建築物にすると、建ぺい率が10%割増できる(2019年改正)。


■ 容積率 ■
敷地に対する建物延べ床面積の比率。
例えば、敷地面積200m2で 容積率100%の場合、建てられる延べ床面積は 200×100%=200m2が最大となる。

尚、住宅の場合は地下室が計算上除外される。とか、ロフトの高さが1.4m以下で建築面積の1/2以下でハシゴで上る形態なら除外するとか、ポーチやバル コニーや駐車場や自転車置場は一定規模まで除外されるなど、モロモロの緩和規定がある。

ツブヤキ」のページにも関連記事ありますので合わせて御覧下さい。
国土交通省の取扱い通達や緩和がたくさんあって、何を規制したいの?と思わせてしまう、訳がわからん某首相のような内容に陥っている。



■ 高度地区 ■
東京・川崎・横浜などの首都圏では、高度地区制限を加えることで、主に 形態を厳しく制限している。その内容は主に下記2点。
・高度斜線(北側斜線を厳しくしたもの)
・絶対高さ制限(用途地域でも触れた内容)

行政により、内容はバラバラです。その地区の役所建築課へ問い合わせれば、親切丁寧に答えてくれるハズです。(ここだけの話しですが設計事務所なんです が・・と問い合わせると途端に横柄な口調になる人が結構いる...ラシイとしておこう)。


バラバラというのは、第○種高度地区の○部分に入る数字によって、規制斜線の勾配や高さが違うということです(行政毎に)。
また、北側に道路がある場合は次のような緩和規制あり。
・横浜 : 道路の中心線を北側境界とみなす。
・東京 : 道路の反対側の境界を北側境界とみなす。
その他、隣地と高低差がある場合、高さの1/2 −1mだけ緩和するというのもある。
斜線方向は真北方向です。磁北ではありません要注意。なお、土地の測量図に書いてある「北」は、真北測定方法の記述がない限り、
いい加減なものです。これも要注意。


■ 道路 ■
---接道長さ---
建築基準法では、接道長さ(敷地が道路に接している面の長さ)が2m以上必要と規定してます。また、東京都内の場合は東京都安全条例の中で、接道長さと合 わせて路地状部分の幅員も2m以上必要と規定しています。
じゃ、2mない場合はどうするか? 原則はダメですが、絶対にダメではない(ここが建築基準法の不可思議なトコロ)。ただ、この問題を解決するには個別の特殊解となるので、役所と交渉するた めの事前の作戦会議? が必要です。


---道路幅員 : 4m ?---
新しく建物を作る場合は、敷地が接している道路の幅員が4m以上必要です−という規定あり。現代社会の交通事情を考慮して最低でも車がすれ違える巾を確保 しましょう・・という趣旨からきているようです。
でも、4m以下の道路は未だに数多く存在します。法律上、42条2項道路と呼ばれます。この場合、道路の境界線は現況道路の中心線から2m後退したライン となります。
例えば現況3mの場合、道路を中心で分けると1.5mづつですね。中心から2mですから、足りない分50cmを敷地側へ後退したラインが道路境界となるの です。反対側も建替える時は50cm後退しますから、結果として4m道路が出来るという仕組みです。
つまり、現状4m以下の道路で新しく建てる場合は、多少なりとも敷地が減るということになります。


---道路幅員 : 容積率---
容積率は前面道路の幅員によって変化します。通常、土地の表示で示されているのは「基準容積率」と呼ばれるもので絶対的な数字ではありません。道路が狭け れば減る傾向にあります。

※具体的には次のように計算します。
・住居系用途地域 : 道路幅員× 0.4 かつ基準容積率以下
・その他用途地域 : 道路幅員× 0.6 かつ基準容積率以下

例えば、住居系用途で道路幅員4m・基準容積率200%の場合。
4m× 0.4=160% がMax
--基準容積率200%は適用できません。


ちなみに道路幅員6mで同条件の場合。
6m× 0.4=240%
ただし基準容積率がありますからMaxは200%です。


---道路幅員 : 道路斜線---
道路面に圧迫感を与えないよう、幅員や道路から後退した建物の距離に応じて道路側の高さを制限する規定です。

※具体的には次のように計算します。
・住居系用途地域 :
(道路幅員+緩和距離 +道路から建物までの距離)× 1.25
・その他用途地域 :
(道路幅員+緩和距離 +道路から建物までの距離)× 1.50
尚、緩和距離とは、建物が道路から離れた長さを示します。

例えば、住居系用途で道路幅員4m、建物と道路の離れが0.5mの場合、緩和距離も0.5mです。計算式は
(4m+0.5m+0.5m) ×1.25= 6.25m が道路斜線で制限されるその部分の高さMaxとなります。


■ 地区計画等 ■
これは管轄の役所建築課で確認するしか方法ありません。
内容は、街並みを揃えるために一定の規制を追加しています。
具体例は下記。
・壁面位置の指定
 (道路から2m離れたトコロに壁を作りなさいとか)。
・壁面後退の指定(境界線から1m以上離して建てなさいとか)。
・風致地区制限・・・例えば鎌倉など、街並みを守りたい地域はムチャクチャ厳しい制限が加わる。


■ その他 ■
日影規制:複雑すぎてこのページでは説明できないので省略。概要は、言葉通り 廻りに影響する日影を形態上から規制する規定。
尚、日照権とは異なる。




// 「コスト」 に関係する内容 //・・・これから土地を購入される方へ


■ 上下水道・都市ガスの整備状況 ■
>これから土地を購入される方へ
・敷地に既に引込んであるのがベスト。
・前面道路から引込む場合は引込工事が発生。50-100万くらい。
・要注意は、水道が前面道路にない場合です。道路の掘削はやたらと高く、水道が埋設してある道路まで掘削するのですが距離が長ければ長いほど当然割高にな ります。(100万以上は確実に)

下水がなければ浄化槽を設置します。都市ガスがなければプロパンガス またはオール電化で対応です。


■ 近隣地盤(地質)の調査 ■
事前にある程度周辺の地盤を確認する方法があります。周辺が軟弱地盤の場合は、その土地も軟弱地盤の可能性大です。その場合は基礎補強・杭・地盤改良など コストアップ要素が発生します。

・ インターネットで調べる

・ 管轄役所建築課で調べる〜過去データが閲覧できる。
・ その他、私は独自ルート持ってます(たぶん他の設計者も)。

尚、近隣データは「めやす」には なりますが絶対ではありません。
家作りの際には、地質調査は行ないましょう。


■ こんな地域も要注意 ■
用途地域の規制とは別に下記のような規制地域もあります。

・急傾斜崩壊危険地域
・地すべり崩壊危険地域

名称通り、地域全体の地盤が危険とされている地域です。でも、建てられないことはありません。そのかわり安全性を証明する かなり手間のかかる手続きが必要です。ちなみに地すべり崩壊危険地域で建てた時は、建築ではなく土木レベルの大掛かりな構造計算を要求され、ものすごく手 間と時間が掛かりました。








TOPモドル


主に都市計画区域内の市街化区域を前提にまとめた内容です。
都市計画区域外や市街化調整区域の場合は、異なる規制内容となります。